Center for Community Medicine, Faculty of Medicine, Oita University

北海道・家庭医療研修

 

北海道・家庭医療学センター         

研修期間:2014319日~20

       後期研修医  土井恵里

 

 北海道家庭医療学センター(HCFM)は、家庭医療を実践し家庭医療を担う家庭医を育て、北海道・日本の家庭医療の発展に貢献するために1996年に設立された先駆者です。家庭医に求められることは、その地域の人口構成や設備の有無などの居住環境で大きく異なっているため、後期研修では都市型、へき地型の各診療所を経験することになっていました。そのためにHCFMは複数の都市型クリニックとへき地型診療所を有しており、都市とへき地の両方で研修することで、そこに住む人々と医療の関わりを包括的に見られるように研修プログラムが組まれていました。
 
 今回、私が研修させて頂いたのは、札幌市内にある都市型の栄町ファミリークリニックでした。もともとが外科・整形外科の診療所であったため、骨折や捻挫などの整形外科疾患の割合が高い傾向ですが、高齢者だけではなく小児も受診されていました。実際、外来に陪席させて頂いた際、小児の頭部挫創の処置もされていました。また訪問診療にも同行させて頂きましたが、訪問先では認知症で廃用症候群の患者さん、在宅酸素療法が導入されておらず、訪問看護師と呼吸リハビリを行っている慢性呼吸器疾患の患者さん、希望により自宅で看とる予定の末期癌の患者さん、嵌入爪のため全抜爪を行った脳梗塞後遺症の患者さんなど、様々な事情の方がいらっしゃいました。各々の患者さんが抱えている疾患だけではなく、患者さんをとりまく環境も異なっているため、患者さんの疾患そのものを診るだけではなく、家族などの背景を踏まえた上で患者さん自身を診ることが家庭医には非常に重要であると感じました。
 
 また、HCFMでは、すべての施設で遠隔TV会議システムが運用されているため、都市部でもへき地でも時間的・距離的なデメリットがなく、抄読会やワークショップを行える仕組みになっていました。初日の研修では、この遠隔TVを用いて抄読会が行われており、鮮明な画像と声に多少驚いてしまいましたが、遠くにいても瞬時に新しい知識を共有できるため、非常に効率的な仕組みだと感じました。
 
 今回の研修では、家庭医の役割が非常に重要だと実感できました。患者さんの気持ちや背景まで、きちんと考慮できるような医師になれればと改めて思いました。

 

  

 

土井先生1 土井先生2

 

北海道家庭医療学センター 栄町ファミリークリニック

 

研修期間:2014319日~320

報告書作成:研修医2年 阿部 真希子

 
 今回、北海道家庭医療学センター(以下HCFMで研修を行った。HCFMは、1996年に家庭医療学の診療、教育、研究の推進を目的として、北海道室蘭市にある医療法人社団カレスアライアンスに開設されたものが基となっている。当時国内では「家庭医療学」と名の付く部門を有する施設は初めてであり、家庭医療専門医を育てるための研修プログラムに関しても初めての試みであったとのことである。私が臨床研修を行った大分大学医学部附属病院・初期臨床研修コースでは、地域医療実習は基本1カ月間となっている。イメージとして“家庭医療”的診療に近い経験が出来る機会であり、自分が知らなかった地域医療の多様性と地域包括ケアについて興味が湧いたことを覚えている。
 
今回HCFMで研修を行い、ひとつの完成された地域医療の形を体験できたことは、地域医療や医師のあり方について考える良い機会となった。特に大学病院で研修を行っている身としては、訪問診療での医師・患者関係が印象的であった。栄町ファミリークリニックでは他施設の訪問看護師、ケアマネジャーらと連携しながら、患者さんが安心して自宅で過ごせるよう、訪問診療も行われていた。訪問診療は、比較的重症の患者さんが対象であるがゆえに、診療内容や移動時間など、スタッフの負担はどうしても重くなる。へき地における医師確保が重要な課題として取り上げられて久しい事を思えば、訪問診療は、医師という重要な医療資源を、単純な費用対効果として考えると効率的とは言えないと思う。また平成26年度診療報酬改定による訪問診療の報酬切り下げは、今後この領域への積極的参加が鈍ることが容易に予測される。しかし通院や入院が困難な患者にとって、訪問診療こそが彼らの生活を支え、豊かにする鍵となる事は間違いない。訪問診療の途中で、患者さんから「先生に今後も診察に来て頂けるのでしょうか?」と不安げに尋ねられる場面に遭遇した。高齢社会において、重要な役割を占める訪問診療の今後について改めて考えさせられた出来事であった。
 
 最後になりましたが、松田先生、榎原先生など研修先スタッフの皆さま、今回の研修を勧めて下さった宮崎教授初め関係者皆様方に、貴重な機会を頂けた事を感謝致します。

                              2014330日 

【研修写真】

阿部真1 阿部真先生2